【寄稿コラム】DX推進で埋もれさせない!「ビジネスモデル特許」という武器とは?

弁理士法人 白浜国際特許商標事務所 代表弁理士 白浜秀二(寄稿)

近年、あらゆる業種・業態で「DX(デジタルトランスフォーメーション)」が進められています。
業務効率の向上、顧客体験の変革、新しい収益モデルの創出——企業がデジタル技術を活用して成し遂げている変革は、もはや一時的なブームではなく、経営の根幹に関わる重要課題です。

ところが、そのような取り組みで得られた新しい仕組みやサービスの流れが、法的に守られていないケースが多く見受けられます。
せっかく革新的なアイデアを形にしても、模倣されてしまえば競争優位性は一瞬で失われます。

そこで注目したいのが、「ビジネスモデル特許」という知的財産の活用です。DX時代における“見えにくい成果”を守る手段として、今こそ多くの企業が意識すべき武器なのです。


ビジネスモデル=特許になるのか?

「ビジネスモデル特許」という言葉は、法律上の定義があるわけではありません。
これは、ビジネス上の新しい仕組みや業務フローを、ソフトウェアやシステムによって技術的に実現した発明を指します。

ただし、ビジネスのアイデアだけでは特許にはなりません。
重要なのは、それが「技術的思想に基づいた創作」として評価されるかどうかです。

具体例としてよく知られているのが、Amazonの「ワンクリック特許」です。
ユーザーが一度クリックするだけで注文が完了するこの仕組みは、アメリカでは特許として認められ、他社の参入を制限する武器となりました。
しかし、日本では特許として認められませんでした。
その理由は、「単なる業務の流れに過ぎない」と判断された
ためです。

一方、成功例もあります。たとえば「いきなりステーキ」の特許。立ち食いスタイルで高回転率を実現するという業態は一見するとビジネスモデルそのもののように思えますが、厨房内の設計、オペレーション、精算システムが一体化していたことで、技術的な工夫として特許が認められました。

このように、「何をしているか」ではなく、「どうやって実現しているか」が問われるのが、ビジネスモデル特許の世界です。


DX推進と知財戦略の連携

DXを推進する企業では、日々、新しい仕組みやシステムが構築されています。
たとえば:

  • 顧客の購買データをもとに在庫を自動最適化するECシステム
  • 現場のIoTデバイスから収集したデータを分析し、業務を最適化する仕組み
  • サブスクリプション型のサービスと連携したCRMの自動化モデル

これらはまさに「仕組み」の革新であり、知的財産としての保護対象になり得るのです。
ところが多くの場合、「プログラムは著作権で守られているから大丈夫」「社内向けのシステムだから問題ない」といった誤解のもと、せっかくの発明が放置されている現実があります。


どんな企業が対象になるのか?

ビジネスモデル特許は、大企業に限った話ではありません。
むしろ、以下のような取り組みを行っている企業ほど、権利化の可能性が高いと言えます。

  • 自社開発のSaaSやWebサービスを提供している企業
  • DXにより業務オペレーションを自動化・最適化している企業
  • スマートデバイス、センサー、AIなどを組み合わせて業務革新を実現している企業
  • 新業態・新サービスで他社との差別化を図っているスタートアップや中小企業

DXを進める中で「これって他社にはない仕組みだな」と感じた瞬間こそが、特許のタネが芽生えた瞬間なのです。


特許取得のための3つの視点

  1. “アイデア”ではなく“仕組み”として整理すること
     抽象的な発想ではなく、「どう実現するか」を明確にしましょう。
  2. フロー図やシステム図で“見える化”すること
     処理手順やデータの流れを図解することで、技術的特徴を明確にできます。
  3. 早い段階から専門家と連携すること
     プロジェクトの初期段階で弁理士に相談することで、出願のチャンスを逃しません。

最後に:守れる企業が、勝てる企業へ

DXとは、単なるデジタル導入ではなく、ビジネスの根本的な変革です。
そして、そこから生まれた「新しい価値」を守る手段として、ビジネスモデル特許は強力な武器となります。

変革の時代にこそ、守る力=知財力が問われています。
ぜひ皆さまのDXの取り組みに、特許という視点を加えていただければ幸いです。


以上、弁理士 白浜秀二からの寄稿でした。
皆さまの挑戦と成長を、心より応援しております。


弁理士法人 白浜国際特許商標事務所(公式サイト)
https://www.shirahama-ippc.com/

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