【実録】上場企業のDX認定申請、誰がやるべきか?現場で見えたリアルな壁

DX認定を取得したいと考える上場企業が増えています。
特にIRやESG(環境・社会・ガバナンス)対応の一環として、対外的な意思表示を明確にする目的で、制度を活用するケースが増加しています。

一方、申請実務の現場では、「誰がやるべきか」が整理されておらず、情報システム部門に丸投げされてしまう例も少なくありません。

以下、実際の面談事例をもとに、DX認定の申請における課題と対応のポイントを整理してお伝えします。


① DX認定は「経営の意思」を示す制度

DX認定は、IT導入の達成度を示すものではありません。
本質は、「経営者がDXに取り組む意思を社外に公表しているか」を形式的に確認する制度です。

✅ 経済産業省「DX認定申請要領」より:
「DX戦略および経営ビジョンは、経営者または取締役会によって策定されている必要がある」

つまり、以下のような項目はすでに企業内に存在するはずです:

  • DX推進に向けた経営ビジョン
  • 経営ビジョンの実現に向けたビジネスモデルの方向性

これらはIR資料、有価証券報告書、株主総会資料などに記載済みであり、情報システム部が新たに考える性質のものではありません。


② 情報システム部は「実装担当」、申請の構成は経営企画の仕事

実際の面談では、情報システム部の方から次のような質問がありました:

  • DX戦略はどうまとめるべきか
  • データ活用の方策とは何を意味するのか

しかし、これらの論点は本来、経営企画部や役員会の検討事項です。
例えば:

  • DX推進体制と外部連携
  • デジタル人材の育成・確保
  • 業務構造やビジネスモデルの再設計

情報システム部の役割は、あくまで**「決まった戦略をどう実装するか」**にとどまります。
申請書の構成やDX戦略の根幹を担当するのは、経営側の責任です。


③ 「まず自分で書いてみる」は有効なスタート

面談では、申請実務を任された担当者に対して、次のようにアドバイスしました:

「まずはIR資料などを参考に、自社で申請書のたたき台を作ってみては?」

DX認定の審査は、内容の評価よりも形式的な要件充足が重視されます。
認定企業の申請事例も多数公開されており、それらを参考にしたたき台を作ることは十分可能です。

たたき台があれば、その後の外部支援もスムーズに進みます。


④ DX認定は「構想の公開」であり、「実行の評価」ではない

DX認定は、すでにDXが完成している企業を対象にした制度ではありません。

📌 あくまで「経営としてDXに取り組む構想を持ち、それを公開しているか」を問う制度です。

今後は、構想ではなく実行結果に基づく「DX実行企業認定」なども構想されていますが、現時点での認定制度は構想段階の確認にとどまります。


⑤ 上場企業には補助金加点のメリットは基本的にない

DX認定が補助金の加点要件として使われることはありますが、それは中小企業向け補助金に限られた話です。

上場企業や大企業は、補助金の対象要件を満たさないケースが大半であり、DX認定を補助金目的で取得する意義はほぼありません

上場企業にとっての主な活用目的は以下の通りです:

  • 経営戦略・IR資料との整合性強化
  • ESG対応としての公的ポジション明確化
  • グループ企業・自治体連携へのモデル提供

⑥ 社内によくある誤解とそのリスク

申請をめぐって社内でよく見られる誤解には、次のようなものがあります:

  • ❌ 情報システム部で全部作るもの
  • ❌ 書くことがない=やる意味がない
  • ❌ 補助金のためだけの儀式的なもの

実際には、申請に必要な素材はIRや中期経営計画などに揃っており、それをどう再構成し、誰が責任を持って出すかが問題です。

これを現場に任せてしまうと、**「経営意思なき申請書」**ができあがり、制度本来の趣旨が失われます。


⑦ 書類は代行できるが、「意思決定」は外注できない

申請作業そのもの(構成設計、記載、Notionページの構築など)は、外部専門家が代行可能です。
ヒアリングを最小限に抑えつつ、IR資料などから要点を抜き出して、構成を整えることも可能です。

実際の審査では、内容の正しさよりも、申請要領に沿って論点が整理されているかどうかが重視されます。
そのため、「通る構成」であるかどうかが鍵となります。
ただし、この“通る構成”というのは制度上明文化されておらず、実務上の経験則に基づくものです。
初めての申請でそのポイントを押さえるのは難しいため、専門家の支援が有効となる場面が多いのです。

とはいえ――

📌 「どの方針で申請するのか」「誰の名前で出すのか」「社外に公開する意思はあるのか」
これは、経営層による意思決定であり、外注できるものではありません。


⑧ まとめ|DX認定は「誰が書くか」ではなく「誰が意思決定するか」

  • ✅ DX認定は、経営構想の“対外的な公表”を目的とした制度
  • ✅ 情報システム部は実装担当、申請構想は経営企画部門が主導すべき
  • ✅ 書類作成は代行できるが、意思決定は社内で完結させる必要がある
  • ✅ 上場企業における申請は、ESG・IR対応の文脈で捉えるのが本筋

⑨ ご相談・支援のご案内

当事務所では、上場企業のDX認定支援にあたって以下の実務支援を提供しています:

  • 経営資料の読み解きと申請構成の再構築
  • 必要最小限のヒアリングによるドラフト作成
  • Notionページの構成・公開対応までワンストップ代行

📌 経営判断が必要な部分には踏み込まず、
📌 「書類を通す」ことに特化した、実務型の外注支援です。

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