特定創業支援を受けた事業者の方へ:創業型と一般型、どちらの補助金が有利?
特定創業支援を受けた方は、「創業型」補助金での申請も可能です。
ただし、従業員を雇っていたり、売上が一定以上ある場合は、
「一般型」の方が採択率・補助上限の両面で有利になるケースもあります。
一方で、「売上がまだない方」には創業型でしか申請できないという大きな違いも存在します。
この記事では、事業者の状況に合った「型」の選び方を、分かりやすく解説します。
🔰 特定創業支援等事業とは?
「特定創業支援等事業」とは、市区町村や商工会議所などが行う創業塾・経営セミナーなどのことを指します。
この支援を受けると、以下のような優遇措置があります:
- 会社設立時の登録免許税の軽減
- 日本政策金融公庫の創業融資での優遇
- 信用保証協会の保証枠の拡大
つまりこれは、創業支援の“入口”としての制度であり、
補助金申請における「型(創業型/一般型)」を決定するためのものではありません。
💡 「創業型」は“創業したばかり”の人のための制度
「小規模事業者持続化補助金<創業型>」は、
創業後3年以内の小規模事業者のうち、事業立ち上げ初期の方を対象とした制度です。
想定される対象者:
- 創業したばかりで、従業員や家族の手伝いがいない
- 年間売上がまだ小さい(1,000万円未満)
- これから販路開拓や基盤づくりを始めたい
制度概要(令和7年度)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 創業後3年以内の小規模事業者 |
| 補助上限 | 200万円(インボイス特例で+50万円) |
| 補助率 | 2/3 |
| 対象経費 | 機械装置費、広報費、Web制作費、展示会費、旅費、新商品開発費、外注費など |
✅ 創業型の大きな特長:売上ゼロでも申請可能
創業型は、まだ売上が発生していない状態でも申請が可能です。
たとえば、開業準備中・プレオープン前・設備導入中など、「開業届を出した直後」でも申請対象となります。
👥 従業員を雇っているなら「一般型」が原則
創業間もない場合でも、すでにスタッフを複数名雇っていたり、
売上がある程度動いている場合は、「創業型」より「一般型」が適しています。
一般型の補助内容(令和7年度)
| 区分 | 上限額 |
|---|---|
| 基本枠 | 50万円 |
| インボイス枠 | +50万円 |
| 賃上げ枠 | +150万円(事業場内最低賃金が50円以上UP) |
| 最大合計 | 250万円 |
⚠️ 注意! 一般型は「売上実績」の証明が必要
一般型では、創業1年未満で決算を終えていない事業者は、
決算書の代替として「売上台帳」の提出が求められます。
この売上台帳には、実際に売上が発生していることが記載されている必要があります。
つまり:
- 売上が発生していない事業者(開業前、準備段階など)は、
一般型では申請ができない可能性が高くなります。 - 売上ゼロの方は、必ず「創業型」を選ぶ必要があるというのが実務的な判断です。
📉 創業型の採択率はやや低め
令和7年度第1回公募では、
- 創業型:採択率 約37%
- 一般型:採択率 約51%
という結果になりました。
❗創業型は「採択されたら次回以降は申請できない」
一度採択されると、その後は応募不可です。
そのため「創業型で1回きりのチャンスを無駄にしないか」の判断が重要です。
一方、一般型は採択後も条件を満たせば何度でも申請可能なため、
事業のフェーズや将来の拡大も見据えた選択が求められます。
💬 事例:はなみずき美容院(仮名)さんの場合
春に市の創業支援セミナーを受講し、「特定創業支援等事業の修了証明書」を取得。
修了後すぐに開業届を提出し、住宅街に新しい美容室をオープン。
当初は1人での営業予定でしたが、オープン直後から予約が急増。
数ヶ月でスタッフ2名とアシスタント1名を採用。年間売上1,000万円近くを見込む規模に成長。
このため、形式上は創業型の要件を満たしていたものの、実態としてはすでに事業が安定稼働しており、
補助対象経費も「人件費増・販路拡大」といった内容だったため、「一般型」での申請に変更。
- 経営体制が整っている
- 賃上げ計画がある
- 販路開拓を明確に示せる
という要素から、審査上の整合性が高く、採択にも成功しました。
🧭 「支援を受けたから創業型」ではなく、「事業の実態」で判断を
「特定創業支援等事業の修了証明書」は、創業の意思を証明するものであり、
創業型での申請を義務付けるものではありません。
むしろ、売上や雇用実績があるのに創業型で申請すると、
- 制度趣旨とのズレ
- 審査上の整合性の欠如
- 採択率の低下
といったリスクがあります。
📎 創業型で必要な提出書類
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 書類名 | 特定創業支援等事業による支援を受けたことの証明書(写し) |
| 発行者 | 認定市区町村(市区町村長名) |
| 提出形式 | 写し(コピーまたはPDF) |
| 問い合わせ先 | 各市区町村の商工課・産業振興課など |
※ 商工会議所や金融機関が主催する創業講座であっても、
市区町村と連携している場合は対象となる場合があります。
✅ まとめ:自分の「事業フェーズ」に合った型を選ぶ
| 比較項目 | 創業型 | 一般型 |
|---|---|---|
| 主な対象 | 創業間もなく、従業員なし | 売上あり・従業員あり |
| 補助上限 | 最大200万円(+50万円特例) | 最大250万円(条件達成時) |
| 応募回数 | 採択されると1回限り | 複数回可 |
| 採択率 | 約37% | 約51% |
| 売上要件 | 不要(ゼロでも可) | 原則、売上証明必要 |
| 向いているケース | 開業準備中・売上なし | 事業が動いている・雇用あり |
🚀 自社に合った「型」で補助金を最大活用しよう!
補助金申請では、「どの型で申請するか」によって採択率・補助金額が大きく変わります。
特定創業支援を受けた方も、自社の事業実態を冷静に見極めて、
最も適した制度で申請することが、補助金活用の第一歩です。
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